国民健康保険智頭病院のホームページを補完する新たな wix 版のページです。(2018年度~)

杉太です。

紅子です。

よろしくどうぞ!

​秋藤洋一院長の紹介・執筆・講演など

令和元年度鳥取県医学会における日医認定産業医制度指定研修会において「産業医講習会ではなかなか教えてもらえない産業医実務のノウハウ」と題して講演を行いました。(2019/9/2) [鳥取医学雑誌 47(1,2), 38, 2019]

智頭町報〔広報ちづ〕の2019年 1月号に〔新年のご挨拶〕を書きました。

ミニ臨床講義「医療とレジリエンス・エンジニアリング 鳥取県東部医師会報 2018年8月号 

● 中四国医事新報社のインタビューを受けました。

​ 同社の許可を得ましたので、記事をご紹介いたします。(2018/6/1)

● 鳥取県医師会報(2018年5月号)の巻頭言を担当しました。

 
 

秋藤院長が鳥取県医師会報(2018年5月号)の巻頭言を担当しました。

 今回の診療報酬改定では、「医薬品の適正使用」の項目が盛り込まれましたが、その中に感染症対策や薬剤耐性対策の推進が掲げられています。

抗菌薬の不適切な使用を背景として、世界的に薬剤耐性菌の問題は顕在化し、一方で新たな抗菌薬開発は進んでいないのが現状です。2011年WHOの年次総会で薬剤耐性(Antimicrobial Resistance;AMR) が主たる議題として取り上げられ、AMRが世界的健康危機として対策活動が展開されました。2015 年5月の世界保健総会では、AMRに関するグローバル・アクション・プラン(GAP)が採択され、加盟各国は2年以内に薬剤耐性に関する国家行動計画を策定することを求められています。

 これを受け、日本でも2016年4月に厚生労働省においてAMR対策に関する包括的な取組について議論するとともに、「国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議 」において「薬剤耐性に関する検討調整会議」が設置され、我が国として初めてのアクションプランが決定されました。さらに、同年5月の伊勢・志摩サミットの保健分野でAMR対策の強化などを盛り込んだ「伊勢志摩首脳宣言」が発表されました。今後、感染対策は院内にとどまらず地域を巻き込んで

のネットワークによって支えられることとなり、感染対策のサーベランスは地域での活動がますます必要となります。の責務と考えます。

 これを受け、日本でも2016年4月に厚生労働省においてAMR対策に関する包括的な取組について議論するとともに、「国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議 」において「薬剤耐性に関する検討調整会議」が設置され、我が国として初めてのアクションプランが決定されました。さらに、同年5月の伊勢・志摩サミットの保健分野でAMR対策の強化などを盛り込んだ「伊勢志摩首脳宣言」が発表されました。今後、感染対策は院内にとどまらず地域を巻き込んでのネットワークによって支えられることとなり、感染対策のサーベランスは地域での活動がますます必要となります。の責務と考えます。

 これを受け、日本でも2016年4月に厚生労働省においてAMR対策に関する包括的な取組について議論するとともに、「国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議 」において「薬剤耐性に関する検討調整会議」が設置され、我が国として初めてのアクションプランが決定されました。さらに、同年5月の伊勢・志摩サミットの保健分野でAMR対策の強化などを盛り込んだ「伊勢志摩首脳宣言」が発表されました。今後、感染対策は院内にとどまらず地域を巻き込んでのネットワークによって支えられることとなり、感染対策のサーベランスは地域での活動がますます必要となります。

 日本のアクションプランはGAPを参考にして、1)普及啓発・教育、2)動向調査・監視、3)感染予防・管理、4)抗微生物剤の適正使用、5)研究開発、6)国際協力が6つの柱となっています。それぞれの目標として1)は、AMRに関する知識や理解を深め、専門職等への教育・研修を推進すること、2)は、AMRおよび抗微生物薬の使用量を継続的に監視し、薬剤耐性の変化や拡大の予兆を的確に把握すること、3)は、適切な感染予防・管理の実践により、薬剤耐性微生物の拡大を阻止すること、4)は医療、畜水産等の分野における抗微生物薬の適正な使用を推進すること、5)は、AMRの研究や薬剤耐性微生物に対する、予防・診断・治療手段を確保するための研究開発を推進すること、6)は国際的視野で他分野と協働しAMR対策を推進することを掲げています。

本邦の現状として、2013年の統計によれば、欧米と比較して抗菌薬の使用量は決して多くはないのですが、その9割以上が経口薬で占められ、第3世代セファロスポリン系、マクロライド系、フルオロキノロン系が3/4以上という、まことに特異的な使用状況にあります。

 では、「抗菌薬の適正使用」とは何かということになりますが、その定義についてはなかなか困難です。Antimicrobial stewardshipと英語では表現されます。抗菌薬が必要な病態であれば、適切な選択、用量、使用期間を守ることであり、必要でない病態では使用を慎むことも意味しています。抗菌薬が必要なのか必要でない病態なのかを把握することが重要で、厚労省の「抗微生物薬適正使用の手引き」によれば、抗菌薬の不適正使用は、不必要使用(抗微生物薬が必要でない病態において抗微生物薬が投与される病態)と不適切使用(抗微生物薬が投与される病態であるが、その状況における抗微生物薬の選択、使用量、使用期間が標準的な治療から逸脱した状態)と定義しています。手引きで強調されていることに、当たり前のことですが、細菌感染症であることの診断を進めることが抗菌薬使用の適応を決める重要な手順であること、細菌感染であっても自然軽快する感染症(急性下痢症など)があることを把握することが処方医師の診療能力として踏み込んで記載されています。この手引では、本邦の状況を反映して気道感染症と急性下痢症が取り上げられています。細菌感染症合併の予防効果があるとして抗菌薬を処方する医師がたくさんいることは事実です。長年、患者が風邪で抗菌薬を服用すると治るという刷り込みがなされてきました。「服用した、よくなった、効いた」という前後関係が因果関係となってしまう、いわゆる、三「た」論法です。研究結果からは予防効果は否定されており、上気道炎後の肺炎の予防効果を例にとりますとNNT(治療必要数)は4000以上です。

 もう一つの視点として重要なのが、抗菌薬適正使用の概念は医療従事者のみならず、患者、患者家族などの患者側にもきちんと伝える必要があり、手引きでは適正に抗菌薬が処方された場合には最後まで服用すること、抗菌薬をとっておいて後に服用しないことなどが記載されています。また、抗菌薬を処方しないときの患者説明手順も詳しく述べられています。

 抗菌薬適正使用の恒久的な成果としては、使用量の減少だけではなく耐性菌の減少であり感染症診療の改善にあります。前述したように、もとはといえば医療側が「抗生物質が効く」という概念を患者側に植え付けたことによる部分が大きいのです。これまで当たり前のようにやってきたことを変えることは、医療者にとっても患者にとっても行動科学的に容易なことではありませんが、少しでも前進しながら限られた資源である抗菌薬を次世代でも使えるように残していくことが我々の世代の責務と考えます。

ミニ臨床講義
第14回:医療とレジリエンス・エンジニアリング

担当講師 智頭病院 内科  秋藤洋一

 我が国の医療安全活動は、1999年の大学病院での患者誤認手術が契機となりました。その後、医療安全のレベルは着実に改善されつつあります。医療安全とは「医療はうまくいかないことがない」場合に安全であるとされてきました。裏を返せば「医療事故は許されざる出来事」として、法曹界やマスコミは医療安全を科学的に捉えることなく、社会通念をもって懲罰的な対応をしてきました。​

 現行の医療事故対策・予防には、インシデント・アクシデント報告が欠かせないのですが、「失敗」を分析対象として「原因を検証して取り除く」という発想では行き詰まることが目に見えています。結果が原因と直結しているという前提ならば簡単に説明できますが、医療はそんな単純なものではなく、人的、機械的、組織的要因が複雑に絡み合い、刻々と変化し続ける状況下でさまざまなシステム要求を満たさなくてはならないのです。​

 21世紀に入り、信頼性が求められる産業において「レジリエンス・エンジニアリング」という着手方法が注目されています。ここでの「エンジニアリング」は「工学」というより「創る」とか「工夫」という意味を示しており、この学問では、組織の危機回避能力を高め形作ることにあり、人間をシステムの安全を脅かす要素ではなくもともと危険なシステムを安全に行っている存在として捉えます。従来の「安全とは事故のないこと」​に対し、このアプローチでは「安全とはどのような状況においてもシステムが求められた機能を果たしていること」と定義されます。

 概念として、これまでの安全管理(Safety-1)は失敗を減らすことが目的で、因果関係によって失敗を説明しその対策を講じることで再発防止の達成としているのに対し、物事がうまくいかないことを​防ぐのではなく、むしろうまくいくことを確実にする方が安全を達成できる(Safety-II)というものです。Safety-1の特徴は「安全とは事故の無いこと、失敗と成功では経路が違う、システムの一部だけで検討する」という反応的対応ですが、Safety-IIは「安全とはシステムがどのような状況下でも柔軟に機能している、失敗と成功は同じ、うまくいっていることから学ぶ」という先行的対応が特徴です。「人間の位置づけ」で対比すると、Safety-Iは「規定された手順で業務を実行するが、時々エラーが生じ、システムの安全を脅かす可能性がある」という考えなのに対し、Safety-IIは「人間こそが定常、異常時に限らず適切に調整を行い、システムの動作継続に重要である」とするものです。たまたまおこった一事象(失敗)だけを検証し、膨大な数の「人間によるさまざまな調整の結果、安全が保たれた」例からは何も学ばないというのは不合理的ということです。

 この概念を現場に持ち込むためには、基本的な4能力(1.対処:今直ちに何をすべきか、2.監視:事態の進行にあたって何に注意して監視するのか、3:予見:この先どのような脅威と好機が出現するのか、4.学習:過去の良好、失敗事例の双方からどんな教訓を引き出すか)が重要ですし、補完として、1.各職場に、装置、機材、物資、計画書、手順書、人員が配備、2.変化に気づく能力、3.良好実践例からの学習(特に失敗事例の過程で局所的に「うまくいっていっていたこと」に着目)、4.先を見越した(プロアクティブ)行動があります。これら能力を発揮するために、より高いテクニカルスキル、ノンテクニカルスキル、崇高な使命感が要求されることは言うまでもありません。もう一つ、一番遅れていると思われる過酷な医療従事者の環境整備も重要な要素と言えます。

 臨機応変に対応したにもかかわらず悪い結果になった場合に責任を問われるとすれば、人はマニュアル通りにしか行動しなくなることが危惧されます。Sidney Dekkerの著書 Just Culture(ヒューマンエラーは裁けるか)に、この問題が述べられています。

 刑法第38条に「罪を犯す意思のない行為は罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合はこの限りではない」とあり、この特別の規定が「業務過失傷害・致死罪」という、誠に曖昧極まりない規定であります。本邦の裁判制度は「故意でない好意」に対しても「過失」を前提にしており、その弊害は医療裁判では特に大きいものです。無過失保証制度の導入も含め、Safety-IIという概念が医療者と患者の溝を埋め、前向き的な検討を可能とするとともに、より高い安全を目指すためのあtらしい方法論として定着することを願うものです。

 この内容について以前、県医師会報の巻頭言でもふれましたが、会員の皆様に浸透しますことを願って掲載させていただきました。「臨床講義」という意味からすれば少しずれているかもしれませんが、臨床の安全を考えていただくためにという思い手執筆しました。

鳥取県東部医師会報 No.436 p.30-31, 2018年8月号に掲載

This site was designed with the
.com
website builder. Create your website today.
Start Now